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【レースな世界紀行2004】その10の3 [レースな世界紀行 2004]
うーん、インディ500ぅぅぅ。
その10の3
F1第8戦カナダGP〜第9戦US GP
カナダ・モントリオール〜アメリカ・シカゴ〜ロサンゼルス〜インディアナポリス
カナダGPの翌週にインディアナポリスでF1が開催されるので、日本には帰らず、そのままアメリカに移動した。今回の旅では、アメリカはマーチャンダイズの国だ、ということがよく分かった。ロサンゼルスの南郊、コスタ・メサに本拠を構えるTRD USAの副社長、デイビッド・ウィルソンさんはこう説明した。
「アメリカでのライセンスビジネスは巨大です。もし、あなたが誰かのファンだとすれば、あなたはサーキットに行った際、必ずお目当てのドライバーのグッズを買うでしょう。NASCARで最も人気のあるドライバーは、年間7000万ドルをマーチャンダイズで稼ぎます。言うまでもなく、ドライバー契約料を上回る金額です。NASCARに行けばわかりますが、Tシャツやキャップを売るトレーラーに人だかりができています。おそらく、サーキットを訪れる95%以上のファンが関連グッズを身につけています」

というような話を聞いてからインディアナポリスを訪れたわけだが、笑っちゃうくらいウィルソンさんの言うとおりであった。NASCARだろうとIRLだろうとF1だろうと、レースを見に来る人たちの趣向は共通するらしい。インディアナポリス・モーター・スピードウェイを歩く人、みんながみんな上から下までマーチャンダイズで身を固めていた(ちょっと大げさですが)。
それだけじゃあない。ホテルでは、エレベーターに乗ろうとロビーにいようとレストランにいようと、そこにいるのはみーんなF1を見に来た人たちである。なんでそんなことがわかるかというと、その人たちは、カップルであろうと若者のグループであろうと家族連れであろうと、みーんな全身マーチャンダイズで身を固めているからだ。お母さんと子供は全身フェラーリ、お父さんは全身ウィリアムズ。「インディアナポリス2004」のロゴが入ったキャップとTシャツでコーディネートしたカップル。全身ウィリアムズで決めたビール樽体型のお父さんはベビーカーを押してお出かけ、といった具合。GAPのポロシャツを着ている僕など、肩身が狭くて仕方なかった(再びちょっと大げさ)。

アメリカ人のマーチャンダイズ好きな傾向はよく分かったが、彼らは一体、サーキットで買ったキャップやらTシャツやらを、サーキット以外の場所でも身につけるのだろうか。年に1回のイベントを訪れた記念に現地で買い求め、買ったそばから身につけてオシマイなのだろうか。それとも、しばらくは週末のウェアとして活躍するのだろうか。疑問が湧いてきた。
おっといけない、モントリオール、インディアナポリスと2回もF1を観戦しておいて、肝心のレースの話をしていないではないか。要点だけかいつまんでお知らせすると、この2回のグランプリで最も印象に残ったのは佐藤琢磨選手であった。
インディアナポリス・モーター・スピードウェイで行われた第9戦US GPで、佐藤選手は日本人F1ドライバーとしては実に14年ぶりに表彰台に上がる快挙(3位)を成し遂げたのだが、僕が印象に残ったのはそのことではない。いや、もちろん、一時は9番手にまでポジションを落としながら、コース上で前を走るマシンを次々に追い抜き、最終的に3位の座を手に入れた過程は手に汗握るものがあった。表彰台に日の丸が揚がるシーンに無感動でいられようはずがない。
だが、瞬間的な感動の大きさで言えば、その前日、土曜日の予選で見せた佐藤選手の走りに対する観客の反応、これを肌で受け止めたときの感動に軍配が上がる。
土曜日の予選を、僕は観客と一緒に見ていた。バンクと、その外側に立ちはだかる観客席にこだまするエグゾーストノート。これをダイレクトに鼓膜で受け止めながら、目の前にある大型スクリーンでドライバーの走りを見守り、場内のスピーカーから流れる実況に耳を傾けていた。

実況は英語と現地語のバイリンガルである。英語の方はどこのサーキットに行ってもボブ・コンスタンデュロスというイギリス人ジャーナリストが担当する。日本人の仲間内では“ボブコン”の愛称で呼ばれているが、彼はFIA主催のプレスコンファレンスで司会を務めているし、レース前に行われるドライバーズパレードでも長年実況を務めている。こうした活動から、司会=ボブコンというイメージが定着したのか、チームが催す新車発表会にも引っ張りだこだ。この年のトヨタの新車発表会で司会を受け持ったのも、ボブコンであった。
そのボブコンが淀みない口調で目の前で展開される現象を説明する。
「昨年のこのレースでポールポジションを獲ったキミ・ライコネンがコントロールラインを通過。スピードトラップで時速336.6キロを記録しました。この調子でいくとセクターワンの記録も期待できそうです」
みたいな感じだ。話の区切りがつくと、現地語の実況に切り替わる。フランスではフランス語、イタリアではイタリア語である。フランス語やイタリア語は理解できないので何と言っているのかわからなかったが、おそらく英語で実況している内容の繰り返しだろう。英語を理解する観客より、現地語を理解する人間の方が多いはずで、彼ら彼女らにとっては、現地語こそが目の前の状況を理解するための命綱だ。
英語を母国語とするアメリカなのだから、英語と現地語の掛け合いは必要ないんじゃないか、という思いで最初は実況に耳を傾けていたのだが、耳を傾けているうちに「これは絶対に必要だ」と考えを改めた。なんとも、独特の味があるからだ。
英語と英語の掛け合いでなく、イギリス英語とアメリカ英語の掛け合いなのだ。ボブコンはシャキシャキパキパキと角の立った英語でまくし立てるように実況する。一区切りついたところで、現地の実況に切り替わるのだが、これがレロレロまったりとした典型的なアメリカ英語なのだ。両者が伝えている内容は大同小異なのだが、ボブコンの実況を聞いていると、「あ、なんだかヨーロッパでF1見ているみたい」という気になる一方で、現地の実況者の言葉を聞いていると「ああ、ここはアメリカだねぇ」というまた別の感慨がこみ上げてくる。パキパキ、レロレロの対照が面白い。
後で聞けば、現地実況を担当していたのは、インディ500の実況でもおなじみの名物コメンテーターだそう。マシンガンのように矢継ぎ早に言葉が飛び出すボブコンの実況に乱されることなく、独自のまったりともったい付けるような調子を守り通していた。
スタンドが割れんばかりの歓声に包まれたのは、フェラーリのミハエル・シューマッハが、それまでのトップタイムに大きく差をつけて暫定トップの座に立った瞬間だった。フェラーリはどこのサーキットでも絶大な人気を集めており、こうした観客の反応は僕にとっては予想の範囲内だった。確かに、それまでのトップタイムを0.8秒近く上回るタイムを記録したのは驚きだったが、「ああ、やっぱりな」と感じたのもまた事実である。
でも、佐藤選手の走りに対する観客の反応は、まったくの予想外だった。
「タクマがセクター2を通過しました。なんと、シューマッハを1000分の86秒上回っています!」
とボブコンが絶叫すると、まるで地鳴りのような歓声が沸き上がった。続いて、現地コメンテーターが、「日本人ドライバーのタクマ・サトーがチャンピオンより速く走っている」と、まったりとした口調で追いかける。

「シューマッハより速いなんて信じられるか、オイ」という反応だったのだと思う。大型スクリーンは、コーナーを果敢に攻める佐藤選手の姿を映し出していた。最終のセクター3で少しタイムを失った佐藤選手は、結局シューマッハの記録したラップタイムを上回ることができなかった。
「残念。タクマは惜しくもシューマッハのタイムを上回ることができませんでした」
ボブコンがいかにも悔しそうに実況をすると、観客席は大きな溜め息に包まれた。みんなでいっせいに万馬券を取り損ねたかのような落胆ぶりだった。
http://www.facebook.com/serakota
その10の3
F1第8戦カナダGP〜第9戦US GP
カナダ・モントリオール〜アメリカ・シカゴ〜ロサンゼルス〜インディアナポリス
カナダGPの翌週にインディアナポリスでF1が開催されるので、日本には帰らず、そのままアメリカに移動した。今回の旅では、アメリカはマーチャンダイズの国だ、ということがよく分かった。ロサンゼルスの南郊、コスタ・メサに本拠を構えるTRD USAの副社長、デイビッド・ウィルソンさんはこう説明した。
「アメリカでのライセンスビジネスは巨大です。もし、あなたが誰かのファンだとすれば、あなたはサーキットに行った際、必ずお目当てのドライバーのグッズを買うでしょう。NASCARで最も人気のあるドライバーは、年間7000万ドルをマーチャンダイズで稼ぎます。言うまでもなく、ドライバー契約料を上回る金額です。NASCARに行けばわかりますが、Tシャツやキャップを売るトレーラーに人だかりができています。おそらく、サーキットを訪れる95%以上のファンが関連グッズを身につけています」

というような話を聞いてからインディアナポリスを訪れたわけだが、笑っちゃうくらいウィルソンさんの言うとおりであった。NASCARだろうとIRLだろうとF1だろうと、レースを見に来る人たちの趣向は共通するらしい。インディアナポリス・モーター・スピードウェイを歩く人、みんながみんな上から下までマーチャンダイズで身を固めていた(ちょっと大げさですが)。
それだけじゃあない。ホテルでは、エレベーターに乗ろうとロビーにいようとレストランにいようと、そこにいるのはみーんなF1を見に来た人たちである。なんでそんなことがわかるかというと、その人たちは、カップルであろうと若者のグループであろうと家族連れであろうと、みーんな全身マーチャンダイズで身を固めているからだ。お母さんと子供は全身フェラーリ、お父さんは全身ウィリアムズ。「インディアナポリス2004」のロゴが入ったキャップとTシャツでコーディネートしたカップル。全身ウィリアムズで決めたビール樽体型のお父さんはベビーカーを押してお出かけ、といった具合。GAPのポロシャツを着ている僕など、肩身が狭くて仕方なかった(再びちょっと大げさ)。

アメリカ人のマーチャンダイズ好きな傾向はよく分かったが、彼らは一体、サーキットで買ったキャップやらTシャツやらを、サーキット以外の場所でも身につけるのだろうか。年に1回のイベントを訪れた記念に現地で買い求め、買ったそばから身につけてオシマイなのだろうか。それとも、しばらくは週末のウェアとして活躍するのだろうか。疑問が湧いてきた。
おっといけない、モントリオール、インディアナポリスと2回もF1を観戦しておいて、肝心のレースの話をしていないではないか。要点だけかいつまんでお知らせすると、この2回のグランプリで最も印象に残ったのは佐藤琢磨選手であった。
インディアナポリス・モーター・スピードウェイで行われた第9戦US GPで、佐藤選手は日本人F1ドライバーとしては実に14年ぶりに表彰台に上がる快挙(3位)を成し遂げたのだが、僕が印象に残ったのはそのことではない。いや、もちろん、一時は9番手にまでポジションを落としながら、コース上で前を走るマシンを次々に追い抜き、最終的に3位の座を手に入れた過程は手に汗握るものがあった。表彰台に日の丸が揚がるシーンに無感動でいられようはずがない。
だが、瞬間的な感動の大きさで言えば、その前日、土曜日の予選で見せた佐藤選手の走りに対する観客の反応、これを肌で受け止めたときの感動に軍配が上がる。
土曜日の予選を、僕は観客と一緒に見ていた。バンクと、その外側に立ちはだかる観客席にこだまするエグゾーストノート。これをダイレクトに鼓膜で受け止めながら、目の前にある大型スクリーンでドライバーの走りを見守り、場内のスピーカーから流れる実況に耳を傾けていた。

実況は英語と現地語のバイリンガルである。英語の方はどこのサーキットに行ってもボブ・コンスタンデュロスというイギリス人ジャーナリストが担当する。日本人の仲間内では“ボブコン”の愛称で呼ばれているが、彼はFIA主催のプレスコンファレンスで司会を務めているし、レース前に行われるドライバーズパレードでも長年実況を務めている。こうした活動から、司会=ボブコンというイメージが定着したのか、チームが催す新車発表会にも引っ張りだこだ。この年のトヨタの新車発表会で司会を受け持ったのも、ボブコンであった。
そのボブコンが淀みない口調で目の前で展開される現象を説明する。
「昨年のこのレースでポールポジションを獲ったキミ・ライコネンがコントロールラインを通過。スピードトラップで時速336.6キロを記録しました。この調子でいくとセクターワンの記録も期待できそうです」
みたいな感じだ。話の区切りがつくと、現地語の実況に切り替わる。フランスではフランス語、イタリアではイタリア語である。フランス語やイタリア語は理解できないので何と言っているのかわからなかったが、おそらく英語で実況している内容の繰り返しだろう。英語を理解する観客より、現地語を理解する人間の方が多いはずで、彼ら彼女らにとっては、現地語こそが目の前の状況を理解するための命綱だ。
英語を母国語とするアメリカなのだから、英語と現地語の掛け合いは必要ないんじゃないか、という思いで最初は実況に耳を傾けていたのだが、耳を傾けているうちに「これは絶対に必要だ」と考えを改めた。なんとも、独特の味があるからだ。
英語と英語の掛け合いでなく、イギリス英語とアメリカ英語の掛け合いなのだ。ボブコンはシャキシャキパキパキと角の立った英語でまくし立てるように実況する。一区切りついたところで、現地の実況に切り替わるのだが、これがレロレロまったりとした典型的なアメリカ英語なのだ。両者が伝えている内容は大同小異なのだが、ボブコンの実況を聞いていると、「あ、なんだかヨーロッパでF1見ているみたい」という気になる一方で、現地の実況者の言葉を聞いていると「ああ、ここはアメリカだねぇ」というまた別の感慨がこみ上げてくる。パキパキ、レロレロの対照が面白い。
後で聞けば、現地実況を担当していたのは、インディ500の実況でもおなじみの名物コメンテーターだそう。マシンガンのように矢継ぎ早に言葉が飛び出すボブコンの実況に乱されることなく、独自のまったりともったい付けるような調子を守り通していた。
スタンドが割れんばかりの歓声に包まれたのは、フェラーリのミハエル・シューマッハが、それまでのトップタイムに大きく差をつけて暫定トップの座に立った瞬間だった。フェラーリはどこのサーキットでも絶大な人気を集めており、こうした観客の反応は僕にとっては予想の範囲内だった。確かに、それまでのトップタイムを0.8秒近く上回るタイムを記録したのは驚きだったが、「ああ、やっぱりな」と感じたのもまた事実である。
でも、佐藤選手の走りに対する観客の反応は、まったくの予想外だった。
「タクマがセクター2を通過しました。なんと、シューマッハを1000分の86秒上回っています!」
とボブコンが絶叫すると、まるで地鳴りのような歓声が沸き上がった。続いて、現地コメンテーターが、「日本人ドライバーのタクマ・サトーがチャンピオンより速く走っている」と、まったりとした口調で追いかける。

「シューマッハより速いなんて信じられるか、オイ」という反応だったのだと思う。大型スクリーンは、コーナーを果敢に攻める佐藤選手の姿を映し出していた。最終のセクター3で少しタイムを失った佐藤選手は、結局シューマッハの記録したラップタイムを上回ることができなかった。
「残念。タクマは惜しくもシューマッハのタイムを上回ることができませんでした」
ボブコンがいかにも悔しそうに実況をすると、観客席は大きな溜め息に包まれた。みんなでいっせいに万馬券を取り損ねたかのような落胆ぶりだった。
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【レースな世界紀行2004】その10の2 [レースな世界紀行 2004]
そろそろ先が見えてきました。もう間もなくの辛抱(?)です。
その10の2
F1第8戦カナダGP〜第9戦US GP
カナダ・モントリオール〜アメリカ・シカゴ〜ロサンゼルス〜インディアナポリス
「飛行機あそこよ」
彼女が指さした先を見ると、150メートルほど先に小型のジェット旅客機が止まってお尻を向けている。雨に濡れながらタラップに飛びつかんとしている客も何人か見えた。ダッシュしたが、急いだところでどうにかなる雨の量じゃない。席に着いた頃には全身ずぶ濡れである。満員の乗客も同様だ。が、不平を言う者はいない。
予定より13時間遅れてモントリオールに降り立ったはいいが、荷物は届かなかった。いわゆるロストバゲッジというヤツである。とりあえず、GAPで2日分の着替えを買い、スーパーマーケットで歯ブラシとペースト、カミソリとシェービングジェルを買ってホテルにチェックインした。
「来ないから心配したよ」と言われて初めて、ホテルに連絡をしていなかったことに気づいた。
荷物は2日後の朝に届いた。その間、何度も航空会社に問い合わせをしたが、応答はなし。いや、正確に言えば、応答はあるにはあるのだが、アンサリングマシーン、つまり、テープに録音された声が流れるのみである。
「ただいま混雑しております。しばらくそのままお待ちください」
というようなことを繰り返し言っているのだが、そのまま待っていたところで一向にらちが開かない。腹が立つとはこのことである。荷物が届くかどうかも分からないので、3日分の着替えを追加で買ったが、買ったその翌日に荷物が届いたので、追加で買った分は無駄になった。スーツケースに空きスペースがないので、買った着替えを詰め込むだけのためにプーマでバッグを買った。
数日後、ロサンゼルスからインディアナポリスへ向かう際にシカゴを経由したときも、シカゴ〜インディアナポリスの便が3時間遅れた。さらに数日後、シカゴから成田に飛ぶ便も2時間の遅れ。遅れっぱなしの旅であった。
インディアナポリスに来ていたロジャー安川選手にいきさつを説明すると、
「アメリカはそうなんですよ」
と語り、ニヤリと笑う。アメリカ生活が長いゆえ、相当思い当たる節がありそうである。
「バーバー・ダッジに出ていた頃の話なんですが、飛行機が遅れに遅れて結局キャンセルになり、レース当日の朝に現地入り。しかもそこは初めて走るサーキットだったので、まさにぶっつけ本番でレースしたことがあります」
アメリカに長く住んでいる人でもそういうことがあるのか、と感心しきりで、レースの結果がどうだったのか聞くのを忘れてしまった。やっぱり、ぶっつけ本番じゃ、ツライだろうな。

そんなこんなを抜きにして、ひとたびカナダやらアメリカに上陸してしまえばこっちのもんである。とくに、モントリオールはF1観戦の環境としては最高だ。ニュルブルクリンクしかり、マニクールしかりで、サーキットはその特性からして人里離れた山間部にあることが多い。人里離れていようと山の中だろうと、それはそれで楽しみ方もあるのだが、市街地の近くにあれば楽しさは倍増する。カナダGPの舞台、モントリオールはまさにそういう環境にある。
どういう環境にあるのかと言えば、銀座からお台場に通うような感覚でサーキットに行けるのである。ジル・ビルヌーブ・サーキットはセントローレンス川の中州に設けられた公園にあるのだが、川と言っても神田川や目黒川のように小規模なものではなくて、大陸のそれらしく見事な川幅を誇っている。だから、ホント、お台場のようなのだ。人工海浜もあるし。

スタンド裏に行ってみると、売店やら仮設トイレやらが並んでいるが、その裏手に回ると砂浜がある。ご丁寧に、監視員が座る背の高い椅子まである。日焼け止めクリームに特有のあまーい香りが漂っている。
もちろん、あまーい香りが漂っているだけではなくて、実際に(水着を着けた)裸の男女が砂浜に横たわっているのである。それも、相当の数がいる。ほんの数十メートル離れたところで、F1マシンが轟音を発しながら走り回っているまさにそのときに。
「F1見に来たんだからF1だけじっくり見ていればいいんだ」という発想ををするのが日本人なら、「砂浜があるんだから甲羅干しでもしようよ」という発想をするのがカナダ人なのだろうか。

額に手をかざして遠方を見やれば、摩天楼がそびえている。これが、河口に立ち並ぶモントリオールの街並みである。お台場の海浜から芝浦やら浜松町やらを眺めたときの感じとよく似ている。銀座やら芝浦やら築地に泊まってお台場へF1を見に行く、なんて夢のような話だが、モントリオールのF1は実際そんな感じだ。

F1開催期間中、街が浮かれたようにはしゃいでいるのもモントリオールの特徴だ。深夜、街の中心部に設けられた特設ステージでバンドが生演奏をし、通りはただなんとなく集まってきたクルマでごった返し、歩道という歩道は人で埋まっている。歩いているだけでいい気分になる。
(つづく)

http://www.facebook.com/serakota
その10の2
F1第8戦カナダGP〜第9戦US GP
カナダ・モントリオール〜アメリカ・シカゴ〜ロサンゼルス〜インディアナポリス
「飛行機あそこよ」
彼女が指さした先を見ると、150メートルほど先に小型のジェット旅客機が止まってお尻を向けている。雨に濡れながらタラップに飛びつかんとしている客も何人か見えた。ダッシュしたが、急いだところでどうにかなる雨の量じゃない。席に着いた頃には全身ずぶ濡れである。満員の乗客も同様だ。が、不平を言う者はいない。
予定より13時間遅れてモントリオールに降り立ったはいいが、荷物は届かなかった。いわゆるロストバゲッジというヤツである。とりあえず、GAPで2日分の着替えを買い、スーパーマーケットで歯ブラシとペースト、カミソリとシェービングジェルを買ってホテルにチェックインした。
「来ないから心配したよ」と言われて初めて、ホテルに連絡をしていなかったことに気づいた。
荷物は2日後の朝に届いた。その間、何度も航空会社に問い合わせをしたが、応答はなし。いや、正確に言えば、応答はあるにはあるのだが、アンサリングマシーン、つまり、テープに録音された声が流れるのみである。
「ただいま混雑しております。しばらくそのままお待ちください」
というようなことを繰り返し言っているのだが、そのまま待っていたところで一向にらちが開かない。腹が立つとはこのことである。荷物が届くかどうかも分からないので、3日分の着替えを追加で買ったが、買ったその翌日に荷物が届いたので、追加で買った分は無駄になった。スーツケースに空きスペースがないので、買った着替えを詰め込むだけのためにプーマでバッグを買った。
数日後、ロサンゼルスからインディアナポリスへ向かう際にシカゴを経由したときも、シカゴ〜インディアナポリスの便が3時間遅れた。さらに数日後、シカゴから成田に飛ぶ便も2時間の遅れ。遅れっぱなしの旅であった。
インディアナポリスに来ていたロジャー安川選手にいきさつを説明すると、
「アメリカはそうなんですよ」
と語り、ニヤリと笑う。アメリカ生活が長いゆえ、相当思い当たる節がありそうである。
「バーバー・ダッジに出ていた頃の話なんですが、飛行機が遅れに遅れて結局キャンセルになり、レース当日の朝に現地入り。しかもそこは初めて走るサーキットだったので、まさにぶっつけ本番でレースしたことがあります」
アメリカに長く住んでいる人でもそういうことがあるのか、と感心しきりで、レースの結果がどうだったのか聞くのを忘れてしまった。やっぱり、ぶっつけ本番じゃ、ツライだろうな。

そんなこんなを抜きにして、ひとたびカナダやらアメリカに上陸してしまえばこっちのもんである。とくに、モントリオールはF1観戦の環境としては最高だ。ニュルブルクリンクしかり、マニクールしかりで、サーキットはその特性からして人里離れた山間部にあることが多い。人里離れていようと山の中だろうと、それはそれで楽しみ方もあるのだが、市街地の近くにあれば楽しさは倍増する。カナダGPの舞台、モントリオールはまさにそういう環境にある。
どういう環境にあるのかと言えば、銀座からお台場に通うような感覚でサーキットに行けるのである。ジル・ビルヌーブ・サーキットはセントローレンス川の中州に設けられた公園にあるのだが、川と言っても神田川や目黒川のように小規模なものではなくて、大陸のそれらしく見事な川幅を誇っている。だから、ホント、お台場のようなのだ。人工海浜もあるし。

スタンド裏に行ってみると、売店やら仮設トイレやらが並んでいるが、その裏手に回ると砂浜がある。ご丁寧に、監視員が座る背の高い椅子まである。日焼け止めクリームに特有のあまーい香りが漂っている。
もちろん、あまーい香りが漂っているだけではなくて、実際に(水着を着けた)裸の男女が砂浜に横たわっているのである。それも、相当の数がいる。ほんの数十メートル離れたところで、F1マシンが轟音を発しながら走り回っているまさにそのときに。
「F1見に来たんだからF1だけじっくり見ていればいいんだ」という発想ををするのが日本人なら、「砂浜があるんだから甲羅干しでもしようよ」という発想をするのがカナダ人なのだろうか。

額に手をかざして遠方を見やれば、摩天楼がそびえている。これが、河口に立ち並ぶモントリオールの街並みである。お台場の海浜から芝浦やら浜松町やらを眺めたときの感じとよく似ている。銀座やら芝浦やら築地に泊まってお台場へF1を見に行く、なんて夢のような話だが、モントリオールのF1は実際そんな感じだ。

F1開催期間中、街が浮かれたようにはしゃいでいるのもモントリオールの特徴だ。深夜、街の中心部に設けられた特設ステージでバンドが生演奏をし、通りはただなんとなく集まってきたクルマでごった返し、歩道という歩道は人で埋まっている。歩いているだけでいい気分になる。
(つづく)

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ルノー・アルピーヌA110-50 [クルマ]
F1モナコGP開催中のモンテカルロ市街地で、アルピーヌA110の生誕50年を記念したコンセプトカー、ルノー・アルピーヌA110-50が公開されました。発表されたCGを見て、「おっ」と思ったのですが……。


(写真:Renault)
オリジナルA110のDNAを受け継いでいるとしているのですが、どうでしょう。
真横から眺めると何かに似ています。

(写真:Renault)
そうです。メガーヌ・トロフィー。このクルマをベースにモディファイしたわけです。2625mmのホイールベースは共通ですが、メガーヌ・トロフィーよりも低く、ワイドに仕立てられています。「ドライバーフィードバックを重視し、ABSやトラクションコントロールなどのドライバーエイドは非搭載にした」と説明していますが、まぁ、ベース車両には付いていませんからね。

(写真:Renault Sport)
メガーヌ・トロフィーがベースなので、シャシーは鋼管フレーム製。2シーターのコクピットはロールケージで囲まれています。

(写真:Renault)
エンジンはV4Y型の3.5L・V6。つまり日産VQ35DEです。最高許容回転数を300rpm高めて7500rpmにしたこともあって、最高出力/最大トルクはメガーヌ・トロフィーの360bhp/7100rpm、390Nm/5750rpmから400hp/7200rpm、422Nm/6200rpmに高められています。縦置き6速ギヤボックスとの組み合わせ。

(写真:Renault)
50周年を祝うクルマとしてはちょっとお手軽?
http://www.facebook.com/serakota


(写真:Renault)
オリジナルA110のDNAを受け継いでいるとしているのですが、どうでしょう。
真横から眺めると何かに似ています。

(写真:Renault)
そうです。メガーヌ・トロフィー。このクルマをベースにモディファイしたわけです。2625mmのホイールベースは共通ですが、メガーヌ・トロフィーよりも低く、ワイドに仕立てられています。「ドライバーフィードバックを重視し、ABSやトラクションコントロールなどのドライバーエイドは非搭載にした」と説明していますが、まぁ、ベース車両には付いていませんからね。

(写真:Renault Sport)
メガーヌ・トロフィーがベースなので、シャシーは鋼管フレーム製。2シーターのコクピットはロールケージで囲まれています。

(写真:Renault)
エンジンはV4Y型の3.5L・V6。つまり日産VQ35DEです。最高許容回転数を300rpm高めて7500rpmにしたこともあって、最高出力/最大トルクはメガーヌ・トロフィーの360bhp/7100rpm、390Nm/5750rpmから400hp/7200rpm、422Nm/6200rpmに高められています。縦置き6速ギヤボックスとの組み合わせ。

(写真:Renault)
50周年を祝うクルマとしてはちょっとお手軽?
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F1の空力開発と同じなEGRクーラーの開発 [クルマ]
「人テク」第2弾です。呼び止められるままにカルソニックカンセイのブースに誘い込まれ、「新しいのはコレです」と説明を受けたのが開発中のガソリンエンジン用EGR(排ガスを吸気と合流させ再利用する仕組み)クーラー。ノック回避やポンプロス低減、負荷の高い運転領域でもMBT(最適点火進角)に近づけられる技術だとして、クールドEGRの採用は今後ますます増えていくことと思います。
となると課題として浮上するのは小型・軽量化。現状どんな状況かというと、下のCADのような感じです。マツダのスカイアクティブG 1.3(1.3L・直4)の例。

(素材:Mazda)
カルソニックカンセイの開発品は、(同一性能・材料の場合)長手方向に12%短縮し、22〜28%軽量化しました。

クーラーを通過する排ガスの渦を制御し、抵抗(誘導抵抗)を低減。結果、熱交換の効率が向上し、小型化が可能になったというわけです。上のイラストが開発後の流れ(FIN=ボルテックスジェネレーターの形状がミソ。なので、イラストではぼかしていますね)。

(素材:カルソニックカンセイ)
そうです。F1の空力でいう翼端渦の制御と同じなんです。これも抵抗になるので、空力エンジニアにとっては悩みの種。CFDを駆使して開発する点も同じ。というわけで、妙に感心してしまいました。

(写真:Vodafone McLaren Mercedes)
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となると課題として浮上するのは小型・軽量化。現状どんな状況かというと、下のCADのような感じです。マツダのスカイアクティブG 1.3(1.3L・直4)の例。

(素材:Mazda)
カルソニックカンセイの開発品は、(同一性能・材料の場合)長手方向に12%短縮し、22〜28%軽量化しました。
クーラーを通過する排ガスの渦を制御し、抵抗(誘導抵抗)を低減。結果、熱交換の効率が向上し、小型化が可能になったというわけです。上のイラストが開発後の流れ(FIN=ボルテックスジェネレーターの形状がミソ。なので、イラストではぼかしていますね)。

(素材:カルソニックカンセイ)
そうです。F1の空力でいう翼端渦の制御と同じなんです。これも抵抗になるので、空力エンジニアにとっては悩みの種。CFDを駆使して開発する点も同じ。というわけで、妙に感心してしまいました。

(写真:Vodafone McLaren Mercedes)
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EVOエレクトリックのモーター [モータースポーツ]
毎年恒例の「人とくるまのテクノロジー展」に行ってきました(と、昨年と同じ書き出し。昨年以前のエントリーはお手数ですが「記事検索」からお探しください。と横着)。
本日の収穫(のひとつ)はEVOエレクトリックのモーターを開発した張本人とコンタクトがとれたこと。何に使っているモーターかといえば、ニュルブルクリンク北コースでEVの速度記録を持つTMG EV P001です。
過去エントリーはこちら↓
http://serakota.blog.so-net.ne.jp/2011-08-22
こんなクルマですね。

(写真:TMG)
ちゃんとブランドロゴが車体に貼ってあります。

(写真:TMG)
EV P001は140kWのモーターを2基使用し、後輪左右それぞれを駆動します。会場には、1スペック下の130kW版が展示してありました。

このモーター、マーレが開発中のレンジエクステンダー(0.9L・直2の発電専用ガソリンエンジン+モーター)に取り付けられています。

TMGは7月のパイクスピークにもEVを送り出しますが、出場車両はギヤボックスが組み合わせられている(EV P001はダイレクト駆動)という情報も。車両の詳細、気になりますね。
関連エントリー↓
http://serakota.blog.so-net.ne.jp/2012-03-21
英国パビリオンは毎年おもしろいですね。

http://www.facebook.com/serakota
本日の収穫(のひとつ)はEVOエレクトリックのモーターを開発した張本人とコンタクトがとれたこと。何に使っているモーターかといえば、ニュルブルクリンク北コースでEVの速度記録を持つTMG EV P001です。
過去エントリーはこちら↓
http://serakota.blog.so-net.ne.jp/2011-08-22
こんなクルマですね。

(写真:TMG)
ちゃんとブランドロゴが車体に貼ってあります。

(写真:TMG)
EV P001は140kWのモーターを2基使用し、後輪左右それぞれを駆動します。会場には、1スペック下の130kW版が展示してありました。
このモーター、マーレが開発中のレンジエクステンダー(0.9L・直2の発電専用ガソリンエンジン+モーター)に取り付けられています。

TMGは7月のパイクスピークにもEVを送り出しますが、出場車両はギヤボックスが組み合わせられている(EV P001はダイレクト駆動)という情報も。車両の詳細、気になりますね。
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英国パビリオンは毎年おもしろいですね。
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