So-net無料ブログ作成

ポールリカールWECテスト雑感 [モータースポーツ]

ポールリカール・サーキットは山の上にあります。西側の山の麓に宿をとり、片道20kmを毎日往復しました。ホテル〜サーキット間は箱根ターンパイクのような中高速のワインディングロードなので、毎日なかなか楽しめました。日中はそこそこ気温が上がる(17〜18℃)のですが、朝はクルマに霜が降りたりします。

DSCN2917.JPG

食事にお誘いいただいたので、山の東側へ降り、一瞬だけ海を見ました。帰りは夜道。ほとんどが山の中なので、街灯なし。真っ暗闇。

DSCN2911.JPG

ホームストレートです。

DSC04097.JPG

ホームストレートの南側に滑走路があり、小型飛行機がそこそこ頻繁に離着陸しています。

DSCN2961.JPG
(クリックで拡大)

「PROLOGUE(プロローグ)」と名付けられたWEC合同テスト2日目は、一般公開されました。

DSCN2879.JPG

F1ウインターテスト時のカタルーニャサーキット並には人がいたように感じました。終日強風が吹き荒れていたのが残念です。ドライバーのサイン会もありました。

DSC04434.JPG

LMP2に参戦するロシアのチームのガレージで見かけたヘルメット。不勉強ゆえどのドライバーの持ち物だか特定できませんが、文字がカタカナのように見えます。

DSC04285.JPG

日産VK45(4.5L・V8)と組み合わせるXトラック製6速横起きギヤボックスです。

DSC04294.JPG

トヨタ・レーシングのトランスポーターです。2階がミーティングルームになっています。

DSCN2993.jpg

階段の途中にある「ミーティング中」の表示が点灯しているときは、「邪魔しないでね」という意思表示です。あるいは、「ドライバーをはじめ関係者とはコンタクトとれないから出直してね」というメッセージでもあります。こういうときは出待ちしても無駄なので、別の用事に意識を切り替えます。

DSCN2990.JPG

ポルシェのトランポです。こちらはLM GTE(911 RSR)用。

DSCN2880.JPG

こちらはLMP1(919ハイブリッド)用。

DSCN2891.JPG

http://www.facebook.com/serakota

nice!(3)  コメント(0) 

WEC(世界耐久選手権)のプロローグ [モータースポーツ]

ポルシェ、アウディ、トヨタのLMP1-H勢が記念撮影のために並んだのですが、並んだ状態で見比べてみると、違いがよくわかっていいですね。とくにアウディ。写真で見る限りは前年型とそれほど変わった印象はなかったのですが、3車のなかではもっとも低く、タイトで、コンパクトに見えます。

DSC04381.JPG

28日からコース(ポールリカール・サーキット)を走り始めたのですが、ポルシェ919ハイブリッド、静かです。昨年までは周囲の音を吸収しているかのように静かだったアウディR18 e-tronクワトロの場合、2014年版はエンジンらしい音がしていました。トヨタTS040ハイブリッドは、コーナーの立ち上がりが、「瞬間移動している?」と錯覚するほど速い。

ポルシェのポールリカール・プライベートテストまとめ動画↓



ポルシェのハイブリッドシステム、イメージ動画↓



アウディR18 e-tronクワトロ2014を斜め後方から眺めます。フロントフェンダーとノーズ〜モノコックの隙間から路面が見えますね。すっかすかです。

DSC04310.JPG

こちらはポルシェ919ハイブリッド。同じようにすっかすか。アーチを反復させたグラフィックが目を引きます。

DSC04311.JPG

トヨタTS040ハイブリッドのリヤフェンダー義務づけ開口部は、上面ではなく側面であることは昨日のエントリーでお伝えしました。ポルシェの例も見ておきましょう。

DSC04322.jpg

やはり、CFRP製のカバーが取り付けられています。回転するタイヤが乱した空気を処理するのに上面から出てきた流れを処理するのがいいのか、内側から出てきた方が処理しやすいのか、どちらがいいのかという視点で「上か」か「横か」を判断するそう。

DSC04315.jpg

リヤフェンダーのルーバー内側。

DSC04326.jpg

http://www.facebook.com/serakota

nice!(2)  コメント(0) 

トヨタTS040ハイブリッド登場 [モータースポーツ]

3月28日から30日まで、フランス・マルセイユ近郊のポールリカール・サーキットでWEC(世界耐久選手権)の合同テストが行われます(最初の2日間は一般公開)。その前日、トヨタの参戦車両であるTS040ハイブリッドが公開されました。これで、アウディ、ポルシェ、トヨタのLMP1-H参戦3メーカーのマシンが出そろいました。

もったいぶった(つもりはないかもしれませんが)だけのことはありますね。外も中も見どころたっぷりです。中(ハイブリッドシステム)は簡単には見えないので、公式動画でどうぞ。



レギュレーションが変わって「使ってもいい」ことになったので、本当ははじめから投入したかったハイパワー4輪回生&力行のハイブリッドシステムを搭載しています。520PSのエンジンに対してモーターの出力は前後合わせて480PS。ピーク時は1000PSに達します。「1000PS出る」ことに驚きがちですが、480PSの高出力を一瞬ではなく、一定の時間アシストできるだけのエネルギーを回生できる技術や、そんな過酷なエネルギーの出し入れを24時間繰り返し行えるようにした技術にも注目したいところです。

走行シーンはこちら。



ところで、公開されたオフィシャル写真はロードラッグ(ル・マン)仕様でしたが、現地でメディアに公開されたマシンはハイダウンフォース仕様でした。のちに、7号車はロードラッグ仕様、8号車はハイダウンフォース仕様の空力パッケージをまとっていることが判明。

ハイダウンフォース仕様
TS040_high.jpg

ロードラッグ(ル・マン)仕様
DSC04142.JPG

ハイダウンフォース仕様はフロントフェンダーが切り立っており、フロントアンダーパネルでダウンフォースを稼ぐべく、前端に開口部を設けたカウルとなっています。

ハイダウンフォース仕様
DSC04364.JPG

一方、ロードラッグ仕様のフロントフェンダーは丸みを帯びており、カウルは1枚モノ(開口部なし)です。

ロードラッグ(ル・マン)仕様
DSC04217.JPG

8号車(ハイダウンフォース仕様)は新しいデザインのホイールを装着していました。空力パッケージを問わず、こちらがスタンダードになるのでしょうか。

DSC04341.JPG

こちらは2013年までの旧仕様。

DSC04189.JPG

サイドポンツーン下部の強い絞り込みが目立ちます。

DSC04174.JPG

前後フェンダーに設けなければいけない開口部はLMP1の場合、従来は上面のみが認められていましたが、2014年からは側面に設けてもいいことになりました。トヨタはリヤのみ側面を選択。ホイールディスクの上部にCFRP製のカバーを装着しています(ポルシェ919ハイブリッドも同様)。

DSC04207.jpg

ディテールも凝ってますね。

DSC04182.jpg

2012年から3年つづけて間近で見ていますが、ハイブリッドシステムの構成も含めて集大成的なマシンと言っていいですね(もちろん、開発に終わりはありません)。力の入り具合が伝わってきます。

http://www.facebook.com/serakota
nice!(1)  コメント(2) 

アウディR18 e-tronクワトロ2014、ル・マンの公道を走る [モータースポーツ]

粋なことをしますね。3月28日からポールリカールサーキットでWECの合同テストが始まります。それに先だってアウディは、R18 e-tronクワトロ2014の実戦カラーリングを公開すると同時に、ル・マン市の公道を約10km走行しました。

audi_R18_LeMans.jpg

車両自体は2013年末に発表になっているのですが、不思議なもので、カラーリングが施されると印象が変わります。

audi_R18_front73.jpg

詳細スペックが少しだけ、明らかになりました。やはり、搭載するつもりで開発していた熱エネルギー回生システムは見送られました。運動エネルギー回生システムのみ搭載します。2014年に導入される新規定では、1周あたりに放出できるエネルギー量を2MJ/4MJ/6MJ/8MJの4種類から選ぶことになります。放出エネルギー量が大きいほど、1周あたりに使用できる燃料のエネルギー量(燃費に影響)と燃料流量(出力に影響)は少なくなります。

アウディはもっとも小さな枠である2MJを選択。前年までと同様、エネルギー貯蔵装置には電動フライホイールを用いますが、エネルギー貯蔵容量は600KJ(0.6MJ)以上と発表しています。以前は500KJでしたので、数値的には微増ですね。

フロントに搭載するモーター/ジェネレーターユニットの出力は170kW。2012年は150kW、2013年は160kWだったので、こちらも微増。

Vバンク角120度のV6ディーゼルターボを積むことに変わりはありませんが、排気量は3.7Lから4Lに引き上げました。排気量を大きくしてゆっくり回し、熱効率を高める考えでしょう。モーターのアシストに頼るより、もともとガソリンに比べて熱効率面で有利なディーゼルエンジンの効率をさらに高め、ベースの性能を底上げして競争力を保つコンセプトでしょうか。

既発表のポルシェ919ハイブリッドと対比させてみましょう。

アウディR18 e-tronクワトロ
audi_R18_front.jpg

ポルシェ919ハイブリッド
porsche919_front.jpg

復帰第1作のためか、ポルシェ919ハイブリッドはモノコックもフェンダーもフロントカウルまわりの造作もコンサバに見えますね。

アウディR18 e-tronクワトロ
audi_R18_side.jpg

ポルシェ919ハイブリッド
porsche919_side.jpg

アウディR18 e-tronクワトロは前年型と同様、リヤのオーバーハングを規定いっぱい使い切っていません。2013年のル・マンにはリヤフェンダーを規定いっぱいまで延長した「ロングテール」を投入しましたが、今年はどうするのでしょう。

2013年仕様は排気の出口をリヤタイヤハウス内に設けて空力的な効果を得ていましたが、2014年のレギュレーションではそのような使い方は禁止されました。テールパイプはエンジンカウルの後端中央部に設けています。Vバンク間に置くシングルターボを基点にしたテールパイプは、カウル出口の手前で二股に分かれているのでしょう。

audi_R18_rear.jpg

よく見るとフロントフェンダーの処理にも特徴がありますね。

audi_R18_rear73b.jpg

こうなってくると、ますますトヨタTS040ハイブリッドの登場が楽しみです。

http://www.facebook.com/serakota

nice!(3)  コメント(0) 

メルセデスAMG W05のステアリングホイール [F1]

詳細は公式ホームページに出ておりますが、いちばんの特徴は大型のディスプレイを採用したこと。2種類のエネルギー回生システムを組み合わせたパワーユニットを積むことになったため、ドライバーに伝えるべき情報が増えた。それに対応するためだと説明しています。

http://www.mercedesamgf1.com/en/news/2014/2014-tech-guide-steering-wheel/

ちなみに、4.3インチディスプレイの供給元はマクラーレン・アプライド・テクノロジーズ(MAT)。PCU-8Dという商品としてラインアップしています。MATの説明ではバックライト付きの液晶ディスプレイですが、メルセデスAMGは有機ELと説明していますね。

http://www.mclarenelectronics.com/Products/Product/PCU-8D

こちらは2013年にメルセデスAMGが使用したステアリング。「70年代の電卓」のような風情の表示です(非点灯ですが)。

mercedes_steering_2013.jpg
(クリックで拡大)

やはり、MAT製。

http://www.mclarenelectronics.com/Products/Product/PCU-6D

ちなみに2013年にザウバーが使用したステアリングホイール。

sauber_steering2013.jpg
(クリックで拡大)

メルセデスAMGの最新型は、形状がやや四角くなっています。パワーユニット関連の調節ダイヤルも目立ちますが、油圧多板クラッチの圧着力によってシーンごとに特性を変更できるデフの調節機能が、相変わらず重要視されていることも伝わってきます。

新規定ではボタン操作によって力行(電気エネルギーの放出)することは禁止されていますので、OT(オーバーテイク)ボタンは、2013年までのKERSのボタンのように、ボタンと連動してエネルギーを放出するのではなく、ボタンを押すことによってパワーユニット(ICE+MGU)の制御がパワーモードに切り替わるのでしょう。

mercedes_steering_2014.jpg
(クリックで拡大)

こちらは2013年テスト中のインストレーションラップ(ドライバーはニコ・ロズベルグ)を追った動画。ギヤの位置を学習させたり、KERSやDRSの機能を確認したり、やることがたくさんあって大変です。



http://www.facebook.com/serakota

nice!(2)  コメント(0) 

日産自動車のスカイラインちょい乗り [クルマ]

2週間以上前になりますが、スカイラインに乗っていたのでした。箱根はまだ雪残っているのでしょうか。それにしても、色つやのいいクルマです。

FSCN2730.JPG

日産でもインフィニティでもなく「日産自動車の」と微妙な表記をしたのにはワケがあって、過去エントリーで軽く説明しております↓
http://serakota.blog.so-net.ne.jp/2013-11-11

がっちがちのライバルに想定しているのは、BMW335iのようですね。実際には広く国内外のプレミアムなブランド/モデルたちを意識しています。内外装の質感に関しては「何言っちゃってんの?」ということはなくて、「どんどん言っちゃってください」というレベルです。オルガン式のアクセルペダルが見えています。

DSCN2674.JPG

ダイナミクスからセーフティまで、ハイテク装備満載なのがスカイラインの特徴ですが、ハイテクに頼ったつくりではなく、基本性能を磨くことに重点を置いています。ハイテク装備は付加価値です。乗ってみても、それは伝わってきます。基本中の基本はボディ。1.2GPa級のハイテン材を世界で初めて採用したのもニュースですね。

DSCN1910.JPG

ダブルウィッシュボーン式のフロントサスペンションは前型を踏襲していますが、マルチリンク式のリヤは新設計。銀色の部材はアルミです。前型ではダンパーとコイルスプリングは別体でしたが、新型は一体です。

DSCN2690.jpg
(クリックで拡大)

フロントも見ておきましょう。

DSCN2701.jpg
(クリックで拡大)

しばし走った後で「本当にランフラットタイヤ履いているんだっけ?」と、降りて確かめてしまいました。特有の重たく硬い乗り味は、今は昔なんですかね。タイヤもクルマも進化が著しいようです。試乗車はダンロップSP SPORT MAXX 050(前後245/40-19)を装着していました。上の写真のディンプルは、空気が抜けた状態で走行した際、サイドウォールの発熱を抑える狙いで開発された形状(表面積を増やし、走行風で冷却)。

DSCN2704.JPG

ランフラットタイヤだと空気が抜けても「抜けた」感がドライバーに伝わりにくいこともあり、タイヤ空気圧が確認できる表示機能があります。ひとしきり走った後なので指定空気圧(240kPa)よりやや高め。この機能、我が車にもほしい。260kPaという数値自体「高め」ですが、空気圧高めにした際に特有の張りの強さはとくに感じませんでした。どんな路面状況でも速度域でも、「しっかり」した印象です。

DSCN2721.JPG

最新ハイテク装備のひとつがステア・バイ・ワイヤです。思い切りましたね。熟成が進んだ油圧アシストと、世に送り出されたばかりの新機能をまともに比較するのは酷だなとは思います。重箱の隅的な視点では指摘したい動きもありますが、いいところもあって、「じゃあ、どっちを選ぶ」と選択を迫られると、やっぱり新しい方を選んじゃうかなぁ。

「ステアリング・バイ・ワイヤ」を説明した過去エントリー↓
http://serakota.blog.so-net.ne.jp/2013-11-12

V37-131111-70.jpg
(クリックで拡大)

3.5L・V6自然吸気エンジン(225kW/350Nm)と7速ATに内蔵した50kW/290Nmのモーター、それに容量1.4kWhのリチウムイオンバッテリーを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載しています。「ハイブリッド車です」と言われなければ、気づかずに試乗を終えてもおかしくないほど、洗練されています。

でも、運転してみればすぐに「?」と気づくはずです。なぜなら、走行中たびたび、エンジン回転計の針がストンと落ちて「0」を指すからです。100km/hで走っていても1500rpm程度なので、定常走行中はエンジンが存在を主張することはないのですが(その代わり、加速中はいい音します)、視界の隅で回転計の針がストンと落ちると、「ん?」となります。

ハイブリッド車はエンジン回転計を廃したクルマが多いのですが、スカイラインはあえて残したそう。EV走行への移行をわかりやすくドライバーに伝えるためでもあるそうですが、ハイブリッド車といえどもエンジンが主役と伝える意図もあるのでしょう。

V37-131111-36.jpg

とまあ、いろいろ感じることはありましたが、試してみたり感じてみたりしたいことはまだまだたくさんあり、食い足りない感もたっぷり……。

http://www.facebook.com/serakota

nice!(0)  コメント(0) 

2014年のF1マシンはなぜ止まれない? [F1]

2014年のF1第1戦オーストラリアGPで、ケーターハムCT05に乗る小林可夢偉選手は、スタートで好ダッシュを見せたものの、1コーナーで止まりきれずに前を走るF・マッサ選手のウィリアムズFW36に激しく追突。グラベルに飛び出してレースを終えました。ドライバーに何ごともなかったのが幸いに感じるほど、マシンは激しく損傷しました。

rd01_caterham.jpg

リヤのブレーキが機能していなかったのが「止まりきれなかった」原因でした。前後のブレーキが受け持つ配分は、大まかに言って60:40です。その(最大)40が得られなかったのですから、ドライバーがイメージしたとおりに止まれるわけはありません。

当初、可夢偉選手は自分のミスだと思ったようですが、そう感じたとしたら、CT05というクルマの性質をまだ把握しきれていないのでしょう。それだけ走り込みが不足した状況で戦いに臨んでいる(臨まざるを得ない)ということです。

フリー走行では多くのマシンがコーナーで十分減速しきれず、コースの外に飛び出すシーンが見られました。原因は「パワード・リヤ・ブレーキング・システム」あるいは「ブレーキ・バイ・ワイヤ(BBW)」などと呼ばれるシステムと決めつけていいでしょう。量産ハイブリッド車や電気自動車で言うところの「電子制御ブレーキ」「協調回生ブレーキ」です。

rd01_caterham2.jpg

フロントブレーキはこれまでどおり油圧で作動しますが、リヤは油圧ブレーキと回生ブレーキの配分を電子制御していいことになりました。回生ブレーキとは、モーターを用いて減速時の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する機能です。

日産リーフにおける協調回生ブレーキの説明↓



2014年はモーター/ジェネレーターユニット(MGU-K)の出力が倍(120kW)になったので、協調制御しないと制動時の安定性/安全性を確保できないため、導入に至りました。昨年まではドライバーが手動で前後のブレーキバランスを調整するなどして、やりくりしていました。

bbw_system_small.jpg

上の図は電子制御ブレーキシステムのシステム構成と作動原理を示しています。ブレーキペダルの操作量などから要求制動力を検出し、油圧ブレーキと回生ブレーキを協調して制動力を発生させます。上の図は完全なバイ・ワイヤの例として描かれていますが、F1の場合はフェールセーフを確保するためマスターシリンダーからキャリパーまで油圧ラインはつなげる決まり。電子制御系が間に介在する格好です。なので、“セミ”バイ・ワイヤです。

理想的な制御を示したのが下の図です。ドライバーはGの変化を嫌います。制動力は一定であってほしい。油圧と回生の配分がどうだろうと知ったことではありません。一方、エネルギーの回生効率を考えるなら、回生ブレーキ(MGU-K)をマックスで機能させたい。回生ブレーキで足りない制動力を油圧ブレーキで補うのが基本。制動の立ち上がりと終わりの領域はフィーリング面に与える影響が大きいので油圧ブレーキの受け持ち分を多くしますが、油圧と回生の受け渡し加減が難しい。

brake4.jpg

下の図はヘタな制御の例。ドライバーの要求制動力(黒の破線)を満たしていません。制動力が足りないと感じたらドライバーは踏み増してしまうし、過剰と感じたらペダルを踏む力を緩めてしまう。減速Gは安定せず、ぎくしゃくしながら速度が落ちることになります。こんな状況だと、イメージどおりに止まれません。

brake5.jpg

F1をはじめとするレーシングカーで協調回生ブレーキが難しいのは、短時間に緻密な制御が求められるからです。下の図は、量産車(左)とレーシングカー(中)、量産スポーツカー(右)の減速時間と、減速時に回生するエネルギー量をイメージしたものです。レーシングカーはものすごく短い時間にたくさんのエネルギーを回収しなければならないことがわかります(青=油圧ブレーキ/緑=回生ブレーキ)。

regenerative_brake.jpg
(クリックで拡大)

しかも、リヤブレーキとMGU-Kの間にギヤボックスが介在しており、これが制御を難しくしています。減速する際はダウンシフトしますが、ギヤの断続を行う際はモーターの力を抜いてやらないと、ギヤ(ドッグリング)が抜けません。ですので、わずか0.05秒の変速時間の間に、回生しているMGU-Kをいったん休ませ、変速し、1段落ちたら回生を再開、を繰り返すわけです。制御も大変ですが、モーターも大変です。

路面μが刻々と変化する状況でダウンシフトを行いながら、最大の効率で回生を行い、Gの変動もなくドライバーの要求制動力を満たさなければいけないのが、2014年に導入されたパワード・リヤ・ブレーキング・システム。ヨーが残ったまま(いわゆる旋回制動)ブレーキングしたはいいが、制御がうまくいかずにGの変動が出たりすると、ドライバーは対処する間もなくスピンモードに陥ったりします。

rd01_caterham3.jpg

エネルギー回生システムの出力が上がっているということは、使用する電圧や電流も大きくなっているということです。そこで課題として浮上してくるのは、高電圧/高電流により発生するノイズだそう。どう影響するかというと、コンピューターが暴走する。「前の周は大丈夫だったのに突然利かなくなった」というような症状の場合、ノイズを疑う必要もありそうです。

オフシーズン中、わずか12日間の実走テストで制御を洗練させるのは無理、とは言いませんが、かなり無茶。でも、急速に進化させてしまうのがF1なのでしょうね。

http://www.facebook.com/serakota
nice!(5)  コメント(6) 

「燃料」に関するレギュレーションと燃料流量センサー [F1]

「失格」の背景には伏線があったのですね。F1世界選手権第1戦オーストラリアGPで、レッドブルのダニエル・リカルド選手が2位に入りましたが、「100kg/hの最大流量をコンスタントに超えた」という理由で失格になりました。

2014年のF1テクニカルレギュレーションでは、約305kmのレース中に消費できる燃料の「量」に関して、次の2種類を定めています。

1. 最大燃料使用量:100kg(約133L)
2. 最大燃料流量:100kg/h(1時間あたり100kg、1秒あたり約27.8g/約37cc)

DSCN9620.JPG

最大燃料流量はもっと細かく規定されていて、100kg/hが適用されるのは10500rpm以上です(最高回転数は15000rpm)。時間あたりの噴射量を増やせないので、高回転まで回す意味が薄いですね。予選中継時、オンボードカメラの映像にエンジン回転数などの情報が映る場面がありましたが、せいぜい11000rpm台でした。

10500rpm以下では「エンジン回転数×0.009+5.5kg/h」の計算式が適用されます。10000rpmなら95.5kg/h、9000rpmなら86.5kg/hです。

DSCN4012.JPG

リカルドのマシンは「100kg/hの最大流量をコンスタントに超えた」ということなので、状況的には10500rpm近辺、あるいはそれ以上の領域で常にしきい値を超えていたと推察することができます。もっと下の回転域から超えていたら大胆ですね。

燃料に関する2種類の量を監視するため、今シーズンから全車共通の燃料流量センサーを搭載することが義務付けられています。イギリスのジル・センサーズ製。

Racecar Engineeringが詳しく説明しています↓
http://www.racecar-engineering.com/news/red-bull-faces-disqualification-for-breaking-f1-fuel-rules/

超音波で流量を計測するのですが、開発段階から計測精度が問題となっていました。公式的には±0.25%の精度(100kg/h時の誤差は±0.07g/0.09cc以下)を保っていることになっています。レッドブルはこのセンサーが示す数字が信頼性に欠けていたと主張。指定の燃料流量センサーを信用せず、自前のセンサーとモデルに従って「量」を計測/計算し、規定の範囲内で走行しました。例えば、直噴インジェクターが燃焼1サイクルあたりに噴射する燃料の量は標準ECU(マクラーレン・エレクトロニック・システムズ製TAG-320)でも管理していますので、それを積算することでも「量」は導き出せます。

ところが、FIAがモニターした数値は規定を超えていた。表向きはテクニカルレギュレーションの違反ですが、ルールを統轄するFIAとしては、ルールに従わないレッドブルの態度がおもしろくない。その心理が今回の動きに少なからず作用したことでしょう。

DSCN3738.jpg

実際のところ、流量の計測は難しいようです。WECのLMP1でも同じジル・センサーズ製の燃料流量センサーを使うのですが、「なかなか大変」だという話は漏れ伝わってきています。LMP1はまだいいんです。ガソリン(E20)だけでなく軽油もあってそれはそれでやっかいなのですが、燃料はシェルの1社供給ですので。

F1の場合はチームによって燃料が異なります。温度によって密度や粘度が変わるだけでも計測がやっかいなのに、メーカーごとに物性が異なってはやっかい極まりないというわけです。

DSC03912.JPG

今回の騒動、尾を引きそうですね。

http://www.facebook.com/serakota

nice!(1)  コメント(2) 

気分はマルティーニだったのですが…… [ウイスキートレイル]

有楽町に用事があったので、これ幸いと銀座アンドレに向かいました。酒を飲みに行くというより、酒にまつわる話を根掘り葉掘り聞いて帰るのが目的(のような気がしてならない)。午前中、F1オーストラリアGPのフリー走行をパソコン観戦したばかりだったし、ウィリアムズへのスポンサードのことが頭にあったので、気分はマルティーニでした。

Williams_Martini.jpg

しかし、「出ない」のでストックから落としてしまったそう。無念。モータースポーツ好きの間では知名度抜群ですが、お酒飲みに来る不特定多数にとっては「チンザノ(Cinzano)」の方がメジャーなよう(お店にもよるでしょうが)。

しかし、気分はマルティーニ(イタリア産ベルモット)だったので、ノイリー・プラット(フランス産ベルモット)で一杯作ってもらいました。クロンダイク・ハイボール(赤/白各30ml+粉砂糖+ジンジャエール+レモン)。ノイリー・プラットの取り扱いは、マルティーニと同じバカルディジャパン。ソーダ割り片手に観戦してもいいかも(飲みながら観戦が前提)。

FSCN2850.JPG

一杯で帰るわけにはいかないので(というか、先に飲んだのはこっち)、竹鶴もいっておきます。

FSCN2852.JPG

朝ドラ『マッサン』(フェリペ・マッサ選手のことではありません)が始まるまでに読んでおきます。

FSCN2844.JPG

http://www.facebook.com/serakota

nice!(2)  コメント(0) 

2014年シーズンのF1を理解するのに役立つ公式動画 [F1]

いよいよ始まりますね。ルールが激変するからでしょうか、チームやサプライヤーは積極的に「2014年のF1」を説明する動画を公開しています。どれもよくできていること。

まずはレッドブル。メインの説明役がオーストラリア出身のダニエル・リカルドなので、「8」は「エイト」ではなく「アイト」です。

)

ルノー・スポールF1が2014年のパワーユニットを説明しています。フランス人が説明しているせい(?)か、「H」は「エイチ」ではなく「ヘイチ」です。英語もいろいろで勉強になります。YouTubeの英語(自動字幕起こし)機能もご活用ください(なぜ、そうなる? という部分もありますが)。

)

メルセデスAMGが説明する2014年のパワーユニット。MGU-Hのレイアウトがルノー版と異っているのがわかります。

)

ピレリが2014年のタイヤを説明しています。ギヤボックスオイルクーラーが再現されていますね(タイヤとは関係ありませんが)。

)

最後にフェラーリ。2014年シーズンに向けた準備をドキュメンタリータッチでまとめています。スクリーンとコクピットが一体化したドライビングシミュレーターは、見どころのひとつ。

)

http://www.facebook.com/serakota



nice!(2)  コメント(2)