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日産デルタウィングに至るまで - その2 [モータースポーツ]

ACOが2012年のル・マン24時間レースに特別な出場枠を与えたのは、デルタウィング・レーシングカーズを中心とする合同チームでした。その名も「プロジェクト56」。56の数字は、ル・マン24時間レースの最大出走台数が55台であることに由来します。56番目のグリッドは、前代未聞のユニークな技術に与えられる賞典外の出場枠だそう。

デルタウィングと合同チームを構成するのは、ダン・ガーニー率いるオール・アメリカン・レーサーズ(AAR)。カリフォルニアに本拠を置くAARが製造を担当。車体開発はハイクロフト・レーシングが務め、アメリカン・ル・マン・シリーズの創設者、ドン・パノスがアドバイザーを務めます。チーム構成員の人となりは割愛。ひとりだけ紹介しておくと、デルタウィング・レーシングカーズを率いるベン・ボウルビーは元ローラのデザイナーで、ローラ時代には全日本F3000の設計も手がけたとか。

ル・マンに出場させるため、シングルシーターだったデルタウィングは2シーターに設計し直されました。これにともない、ボディはワイドに。フロントタイヤのサイズやサスペンションの構成は変わりなし。アームはすごく短いですが、ダブルウィッシュボーン式を採用しています。軽量化を徹底するため、縦置きギヤボックスの変速段は「5」にするとしていましたが、実際はどうなったでしょうか。

project_56_blog.jpg
(素材:DeltaWing)

主要スペックは以下のとおり。
・車重:475kg
・ホイールベース:2.90m
・トレッド(前/後):0.6m/1.7m
・全長×全幅×全高:4.65×2.0×1.03m
・燃料タンク容量:40L
・タイヤサイズ(前):4.0/23.0R15(幅約100mm)
・タイヤサイズ(後):12.5/24.5R15(幅約320mm)
・前後重量配分:27.5:72.5
・空力効率(L/D):>5.0

ちなみに、2010年スペックの童夢S102iのL/Dは4.4。CoP(空力中心)は48。シミュレーションによるとル・マン仕様のデルタウィングは3分40〜45秒のラップタイムを刻めるとしていますが、どうでしょうか。で、終わってはいけないくて、エンジンのコンストラクターとして日産が名乗りをあげ、今回の発表に結びつくわけです。

プロジェクト56側からの働きかけに、ヨーロッパ日産が応じた格好でしょうか(「ヨーロッパ日産」なところがミソ)。実態はエンジンサプライヤーですが、まるで日産のクルマに見えます(PR上手、ということで)。

Nissan_DW2_blog.jpg
(写真:Nissan)

シングルシーター時代はファイアストン製タイヤを想定していましたが、日産デルタウィングはミシュラン製(北米ミシュラン扱い)を装着しています。

Nissan_DW5_blog.jpg
(写真:Nissan)

エンジンは1.6L・直4直噴ターボ。ジューク16GT FOURが積んでいるMR16DDTがベースでしょうか。出力が300馬力前後であることは、シングルシーター時代の想定と変わっていません。

日産ジューク16GT FOURの過去エントリー↓
http://serakota.blog.so-net.ne.jp/2010-12-07

Nissan_DW3_blog.jpg
(写真:Nissan)

いかにも強大なダウンフォースを発生しそうなリヤまわりです。

Nissan_DW4_blog.jpg
(写真:Nissan)

トレッド幅100mmのタイヤでも「曲がる」らしいですが、こればかりは実戦で確認するしかなさそうですね。

Nissan_DW1_blog.jpg
(写真:Nissan)

ところで、POWERD BY NISSANなル・マンカーは日産デルタウィングが久々なのではなくて、2011年にすでに存在しています。ル・マン24時間では、LMP2でクラス優勝、インターコンチネンタル・ルマンカップ(ILMC)ではタイトルを獲得しています(写真はILMCでタイトルを獲得したシグナテック日産)。

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(写真:NISMO)

ここからは告知(宣伝?)です。POWERD BY NISSANなエンジンはニスモが開発・製造を担当。2012年のル・マン24時間では、LMP2にエントリーする車両の半数以上をニスモ製カスタマーエンジンが占める見込み。

エンジンの正体はVK45型で、もとはといえば2006年(最終戦の1台のみ)〜2009年にSUPER GT GT500クラス出場マシン(フェアレディZ/GT-R)に投入されたもの。もっとさかのぼると、シーマやフーガが搭載していました。スプリントレース用だった4.5L・V8を耐久レース用に仕立て直して供給しています。

詳細は発売中の『Motor Fan illustrated Vol.66/レーシングエンジン2』にまとめています(写真はページデザインのイメージ。一部)。

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MFi66_nismo2_blog.jpg

というわけで、結局のところ、ル・マン24時間がとっても楽しみです。

http://www.facebook.com/serakota

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コメント 2

てんちん

なるほどエンジンサプライヤーとしてのNISSANなんですね。ルマンが久しぶりに楽しみになってきました。
by てんちん (2012-03-15 10:01) 

世良耕太

ホント、楽しみですね。
by 世良耕太 (2012-03-15 15:42) 

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