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サイドエキゾーストのポルシェ911 RSR モデルイヤー2019 [モータースポーツ]

WEC(FIA世界耐久選手権)やIMSAの新しいシーズンを戦う、再設計されたポルシェ911 RSRが7月6日に発表されました。

ホワイト基調の新しいワークスカラーをまとっています。WECでLMGTE Proクラスに参戦する91号車は、このカラーリング。92号車はホワイトとグレーが反転。リヤウイングとウイングミラーがブラックになります。

Porsche 911 RSR model year 2019
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リヤスタイルです。モデルイヤー2017との違いがわかりますでしょうか。

Porsche 911 RSR model year 2019
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エキゾースト(テールパイプ)の出口がリヤバンパー中央部から、リヤタイヤ前方(矢印)に移動しています。理由のひとつは「軽量化のため」と、ポルシェは説明しています。

Porsche 911 RSR model year 2019
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モデルイヤー2017では下の写真のようにリヤエンドまで伸びていたので、確かに軽量化につながりそうですね。

Porsche 911 RSR model year 2017
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サイドエキゾーストにした理由のふたつめは、「ディフューザーを最適化し、ダウンフォースを増やすため」と説明しています。

Porsche 911 RSR model year 2019
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こちらがモデルイヤー2017。リヤバンパーの形状が変わっているのもわかります。

Porsche 911 RSR model year 2017
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変わっているといえば、フロントフードのデザインも変わっています。

Porsche 911 RSR model year 2019
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Porsche 911 RSR model year 2017
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リヤアクスルの前方に搭載する水平対向6気筒エンジンは自然吸気のままですが、4.0L(4000cc)だった排気量は4.2L(4194cc)に増えています。81.5mmのストロークはそのままに、102.0mmだったボアを104.5mmに拡大。

グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでのお披露目の様子はこちら↓



WEC2018-2019スーパーシーズンのLMGTE Proクラスでタイトルを獲得した、ポルシェ911 RSR モデルイヤー2017の技術解説(8ページ)は、『ル・マン24時間 2019 【特別付録】両面 ポスター (auto sport 特別編集)』で行っています。



https://www.facebook.com/serakota/

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サーキット専用車のフォードGT Mk IIが登場 [クルマ]

WECやIMSAに参戦するフォードGTの開発・製造元であるマルチマチック(Multimatic)は、7月4日に開催されるグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで、「エキサイティングなスーパーカーを発表する」と事前に告知していました。

「ひょっとしてWECの2020-2021年シーズンから導入されるハイパーカークラスの参戦ベース車両?」と期待しましたが、違いました(ま、参戦できなくもありませんが)。

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フォードGT Mk IIと名づけられたこの車両は、LMGTE車両のフォードGTをベースとしています。フォード・パフォーマンスとマルチマチックが共同で開発。45台の限定生産で、価格は120万ドル(日本円で約1億3000万円)。

サーキット走行専用(track-only)車両です。

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ベース車両のフォードGTは、WECやIMSAのテクニカルレギュレーションに縛られていますが、それらの縛りを解き放ったのがMk II(マーク・ツー)。

3.5L・V6直噴ツインターボエンジンを搭載することに変わりはありませんが、吸気リストリクターを取り外すことによってポテンシャルを解き放ち、ベース車両プラス200馬力の700馬力を発生。

ポルシェは、919ハイブリッドからレギュレーションの縛りを解いて「Evo」を製作しましたが、あれと同じアプローチです(狙いは異なりますが)。

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サーキット走行専用車両にすることで、衝突安全など、各国の法規制に対応する必要はありません。

フロントのスプリッターやダイブプレーン(カナード)の仕様変更、フロントフェンダーへのルーバーの追加などで、ダウンフォースは4倍(!)に増えているそう。

トランスミッションはロードゴーイングバージョンと同じ7速DCT。サーキット専用車両なので、ロードゴーイングバージョンが搭載していたライドハイト調節機構は搭載していません。

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ルーフにマウントするエアインテークが大きくなっているのが、顕著な相違点。エアインテークを大きくしたのは、クラッチやトランスミッションのクーリングを強化するためだそう。リヤウイングも大きくなっています。

リヤフェンダーに設置する空冷インタークーラーには、冷却性能を強化するため、ウォータースプレー機能が追加されています。

Ford GT(WEC)
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Ford GT Mk II
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販売はマルチマチックが行います。

詳細はこちら↓
https://www.ford.com/performance/gt/mkii/

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F1ホンダ優勝のカギを握るパワーユニット制御技術 [F1]

しびれましたね、2019年F1第9戦オーストリアGP。ホンダのパワーユニットを搭載したレッドブルRB15をドライブする、マックス・フェルスタッペンが優勝しました。「ホンダ」にとっては、2006年第13戦ハンガリーGP(ホンダRA106/ジェンソン・バトン)以来の優勝です。

フェルスタッペンにとっては6勝目で、オーストリアGPに関しては連覇。表彰式で見せた、ホンダのロゴを指さす仕草がいいですね。ホンダにとっては通算73勝目。

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レースハイライトはこちら(しびれてください)↓



ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターも言及していますが、ホンダのパワーユニットだけの力で勝ったのではなくて、車体技術やドライバーやチームの働きを含めた総合力の勝利です。

が、パワーユニットの実力なくしては勝てなかったのもまた事実。オーバーヒートの問題を抱えてパフォーマンスを100%引き出すことができなかった(なにしろ、外気温は35℃!)メルセデスAMG勢の精彩を欠いた走りとは対照的でした。

パフォーマンスが向上途上にあった2016年のパワーユニット開発について、『Mortor Fan illustrated特別編集 Motorsportのテクノロジー 2016-2017 Motor Fan illustrated特別編集』でまとめています。

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F1のパワーユニットは、1.6L・V6直噴ターボエンジンに、運動エネルギー回生システムと熱エネルギー回生システムを組み合わせたハイブリッドシステムです。

運動エネルギー回生システムは、エンジンのクランク軸につながったモーター/ジェネレーターユニット(MGU-K/出力120kW)を利用し、ブレーキング時に運動エネルギーを回生。その回生で蓄えた電気エネルギーを利用し、加速時に力行する使い方が基本。

なのですが、ブレーキング時の回生だけでは加速時に使う電気エネルギーを取り切れないので、加速時にもMGU-Kで発電し、足りない分を補っているのです。この制御を「パーシャル回生」と呼んでいます。

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誌面では、いかに複雑な制御をしているか、グラフで紹介しています。こちらは、2016年第9戦オーストリアGP決勝レースのデータ。

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エネルギー収支のバランスが重要な決勝レースと、1周のラップタイムが重要な予選では、最適な制御が異なります。誌面では、その違いを解説しています。

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2017年になって技術規則が変わり、ワイドボディになってワイドタイヤを履くようになると、全開率が大幅に上昇するようになりました。「AUS」がオーストリアGP。イタリア(ITA)の全開率が落ちているのは、ウエットだったから。

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その結果、パーシャル回生だけでは加速時に120kWのMGU-Kを駆動する電気エネルギーが足りなくなりました。

そこで、「エクストラハーベスト」という制御技術を編み出し、適用を始めました。エクストラハーベストの詳細については、『Motorsportのテクノロジー 2017 - 2018 [ モーターファンイラストレーテッド 特別編集 ] (モーターファン別冊)』で解説しています。

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MGU-Kからエネルギー貯蔵装置(ES:実質的にリチウムイオンバッテリー)に送ることのできるエネルギーは1周あたり2MJと決められています(ESからMGU-Kへは最大4MJ)。ですので、MGU-Kの回生量を増やしても、直接ESに送ることはできません。

そこで、2MJ以上の回生/発電分は、いったんMGU-H(熱エネルギー回生システムを構成するモーター/ジェネレーターユニット。ターボチャージャーと同軸に配置)を経由してESに送るのです。そのカラクリは誌面でご確認ください。

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どうすれば、限られたエネルギーを効率良く速さに結びつけることができるのか。知恵を絞って制御を考え、ハードウェアに落とし込み、どんな状況でも音を上げない信頼性を確保し、現場に送り込んでいるのです(当事者はヒヤヒヤだったと思います。とくにレース終盤)。

2019年F1第9戦オーストリアGPは、ホンダの技術者の不断の努力が報われたイベントだったと思います。





ついでに、こちらも宣伝。現行パワーユニットについて解説しています。



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